UNKNOWN ORCHESTER
薄墨夜行
―Story―
とある街外れにある書道教室。もうすぐ27歳をむかえる高嶺羅淀(たかみねらでん)は2年前に交通事故で妻子を失っていた。ぼんやりと毎日を送る羅淀だが、彼を心配する親友葉山大輔(はやまだいすけ)と葉山の恋人 村川あゆみ(むらかわあゆみ)、そして羅淀の家に昔から住まう薄墨絵の妖魔 夜行と墨絵達が羅淀のことを支えていた。時期三回忌をむかえようとしていた6月の梅雨時、雨の日の夕刻、庭には見知らぬ女の姿があった。
―Character―
Name:高嶺 羅淀 (たかみねらでん)
若くして書道教室を開いた習字の先生。昼は近所のおばちゃんたちに、夕方になれば近所の子供達に習字を教えている。
祖父は何かの術師だったらしいが、本人はあまり覚えがない。
物語の2年前に飲酒運転による交通事故によって最愛の妻 秋羽(あきは)と3歳の娘 楓(かえで)を失っており、中々気持ちに整理がつかず、
悲しみにくれる毎日をおくっている。
Name:夜行(やこう)
羅淀のうちに祖父の代からいるという薄墨絵の妖魔。
墨絵として紙の中で大人しくしているときもあれば、ひょっこり現れ家中を歩き回っていることもある。とても気まぐれで気分屋。
水に弱く濡れてしまうと存在が消えてしまうこと、祖父に貼られた札のせいで家から出ることができず、人を襲うこともできない。
いつか本来の力を取り戻そうと思案している。たくあん好き。
Name:紗江(さえ)
梅雨の雨の日に羅淀宅の庭にいた女性。言葉を発せず、自分の名前を紗江とだけ名乗る。家から出たがらず、周囲にとても敏感で怖がり。
しかし、羅淀の家にいた夜行には興味があるのか、よくちょっかいを出す。
Name:葉山大輔(はやまだいすけ)
羅淀の親友で幼馴染。新聞配達の仕事をしており、バイクを乗り回している若造。
片時も音楽を手放さない音楽好き。仕事をしながらでもヘッドフォンをぶら下げているほど。
落ち込む羅淀を何よりも心配している1人。暇があれば羅淀の家でご飯を頂いて行くちゃっかりもの。
Name:村川あゆみ(むらかわあゆみ)
葉山大輔の彼女。葉山のことを「大キャン」と呼ぶギャル風の女性。
葉山と並び羅淀とは正反対の性格の持ち主。
生前の羅淀の妻子とも面識があり、落ち込む羅淀のことを心配してくれている。
Name:マキノ
最近書道教室で噂になっている、黒髪、黒服の怪しい男。
雨の日に傘もささずに歩いていたり、人の家の前にじっと立っていたりするので気味悪がられている。
書道教室に通う子供達の間では「変なおじさん」と呼ばれている。
その他:墨絵達
夜行が描いた墨絵たちは命をもって動きだす。
銀妖(ぎんよう):2尾の狐の絵
青秋(せいしゅう):龍の絵
翼妖(よくよう):翼のある異形の絵
飛妖(ひよう):翼のない異形の絵
―Illustration―